前回(SPI対策)の続きとして、帳票の右側には、帳票左側の得点に関する解釈・コメントが記載されますので、その点についてお伝えします。

「SPI3」が人事にどう表示されるか?

まずは前回のおさらいとして、皆さんが受験した「SPI3」の結果は、企業の人事部には下図のような帳票となって届けられます。

spi3

前回はこちらの左側の「1.性格特徴」と「2.能力(言語/非言語)」について言及したので、今回は右側について解説していきます。

右側には、左側の得点に関する解釈・コメントが記載されます。

学生の皆さんが気にする「能力テスト(言語/非言語)」の扱いは、全体の中で、左下スペースのほんの少しだけです。そのため、「SPI3」は、単なる「能力検査」ではなく、「総合検査」と呼ばれています。

SPI3対策:3.「人物イメージ」

人物イメージは、性格検査の得点をもとに、そのような人物に多く見られる特徴を「基本的な特徴」「仕事面の特徴」「困難な場面であらわれやすい特徴と啓発ポイント」の3つのカテゴリーに分けて、文章で記述されます。

今回情報提供してくれた3人の人事役職者は、この人物イメージを面接前に読むことにより、人物像を捉えるようにしていると言っていました。

「困難な場面であらわれやすい特徴」がシートに解説されていることからも、社会人基礎力の「ストレスコントロール力」をいかに企業が大切にしているかが分かります。

SPI3対策:4.「チェックポイント」

チェックポイントは、面接官が、面接時に確認すべく提案されているポイントです。性格検査の得点をもとに一般的に見られる注意点や課題を、全25の観点から、最大4つまで表示されます。

例えば「批判的なスタンスが強くないか」「意見が空回りすることはないか」「注意や行動が散漫ではないか」といったチェックポイントに書かれている項目を、3人の人事役職者は実際の面接時に確認しているとのことです。この項目も、「他者軽視感」との相関がみられます。

SPI3対策:5.「職務適応性」

職務適応性は、下図のように表示されます。

職務の特徴 段階
1 2 3 4 5

対人接触 多くの人と接する仕事
対人折衝 人との折衝が多い仕事
集団統率 集団を統率する仕事

調

協調協力 周囲と協力しあって進める仕事
サポート 人に気を配りサポートする仕事
フットワーク 活動的にフットワークよく進める仕事
スピーディ てきぱきとスピーディに進める仕事
予定外対応 予定外のことがらへの対応が多い仕事



自律遂行 自分で考えながら自律的に進める仕事
ブレッシャー 目標や課題のプレッシャーが大きい仕事
着実持続 課題を粘り強く進める仕事

前例ない課題 前例のないことに取り組む仕事
企画アイディア 新しい企画やアイディアを生み出す仕事
問題分析 複雑な問題を考えて分析する仕事

行動特徴/能力の得点から、さまざまな職務への適応のしやすさを5段階で判定しています。各段階の出現率は以下の通りです。

段階 意味 出現率
適応に努力を要する 10%
やや適応に努力を要する 20%
ふつう 40%
やや適応しやすい 20%
適応しやすい 10%

3人の人事役職者は、このデータにもとづき志望職種の妥当性を判定するために活用しているとのことです。志望職種の職務との適応性が低く出ていると、当然ながら人事担当者としてはその候補者の採用に慎重になります。そのため、志望職種は、「やりたい」だけでなく、「やれる」を意識して決めることが大切です。また、この項目は配属先を検討する際にも使用されます。

SPI3対策:6.「組織適応性」

職務適応性は、図表●のように表示されます。

組織の特徴 段階
1 2 3 4 5
創造重視風土 挑戦を奨励する自由闊達な風土
結果重視風土 個々人に高い成果を求める厳しい風土
調和重視風土 人の和を大切にする温かい風土
秩序重視風土 規律を守る手堅く機能的な風土

これも、「SPI3」にバージョンアップされた際に、初めて追加された項目です。

性格特徴の観点から、4つの典型的な組織風土への適応のしやすさを5段階で判定しています。各段階の出現率は、職務適応性と同じです。

3人の人事役職者は、部署によって風土が違うために一概にこの組織適応性だけで合否を判断してはいないものの、明らかに自社の風土とミスマッチな学生は、能力が高くても慎重になると言っていました。

「構造的把握力」と「英語力」

構造的把握力とは、「物事の背後にある共通性や関係性を構造的に把握する力」のことです。さまざまな環境に適応できる柔軟性や、近い将来、中核メンバーとして活躍していく可能性を測定する試験です。これもまた、「SPI3」にバージョンアップされて、初めて追加された能力試験です。

この能力を測る試験を応募者に受験させるか否かは、企業が採用選考の際に、この能力を重視しているか否かによります。従って、この試験を実施する会社は、「構造的把握力」も採用の際に重視していると考えて下さい。

英語力は、語彙・文法の理解と、文章の構造・意味の理解、読解力を測定する能力試験です。TOEICのスコアを自己申告させている会社が多いものの、会社によっては、実際の試験で英語能力を測定したいというニーズに対応したものです。

「備考」

備考には、人より「応答態度にやや自分をよく見せようとする傾向がある」と表示が出る場合があります。そして、この表示の出た人は、面接官から警戒される可能性が高いです。

「SPI3」の性格検査は考えながら答えるものではありません。しかし、中には、自分を繕って答えようとする人が出てきます。そうした人には、この備考欄のコメントが表示されますから、あくまでも、素直に直観で答えることが大切です。