他者分析と自己分析

「他者分析」は、自分の身の回りの人の力を借りて自己分析をする方法で、一人でやっていると行き詰まりがちな自己分析を円滑に進める上で欠かせない方法です。

下図を見てください。これは、「ジョハリの窓」と呼ばれているもので、大学で心理学を学んだある人ならば、見たことがあるのではないでしょうか?また、実際、多くの企業研修の場でも用いられている非常に有名なツールです。

ジョハリの窓

johariwindow

このツールは、アメリカのJoseph LuftとHarry Inghamという2人の心理学者がつくったもので、その名をとってThe Johari Windowと呼ばれています。

ジョハリの窓とは?

このツールでは、横軸を自分の「知っている自分」と「知らない自分」に分け、縦軸で他者が「知っている自分」と「知らない自分」とすることで、4象限のマトリクスを作ります。

「ジョハリの窓」では、それぞれの象限を窓と呼んでいますが、以下のような4つの窓ができます。

開かれた窓 自分・他者ともに知っている部分

隠された窓 自分では知っているが、他社には見えない部分

気づかない窓 自分では気づいていないが、他者には見える部分

閉ざされた窓 自分・他者ともに知らない部分

自己分析とジョハリの窓

自己分析で大切なことは、自分自身では気がついていない自分の姿、即ち「気づかない窓」にどんなことがあり、矯正するべきポイントや、取り組むべき課題を明確にすることです。また、自分をもっとオープンにして、「隠された窓」を開けることも併せて重要になります。

「気づかない窓」にある自分を知るようになると、「開かれた窓」が大きくなりますし、「隠された窓」をオープンにすることによっても「開かれた窓」が大きくなります。

「開かれた窓」は、自分と他者が「相互に理解」している自分の側面ですから、この窓の広い人は、いろんな人といい人間関係を築けるのです。

他者分析とジョハリの窓

「ジョハリの窓」が我々に教えてくれている一番重要なポイントは、自分とは「自分が知っている部分」だけでなく、「人から見えていない部分」も含めて「自分」であるということです。余談ですが、私はこのことに気がつくのに5年もかかりました。

「ジョハリの窓」を使って自分のことを知るためには、まず人に自分のことを聴くことが不可欠です。出来れば15人ぐらいに、しかも、いろんな層の人に自分についてどう思うか聴いてください。親、兄弟姉妹、先生、先輩、同輩(友達)、後輩、恋人、バイト先の人に。

客観的な他者分析のやり方

人は、集団や人との関係性の中で様々な役割を担って生活しています。そのため、自分の属する集団の方々に幅広く聴くことでいろんな自分が見えてきます。

また、前回紹介した「新卒採用基準 自己分析表」を周りの人にチェックしてもらうことも有効です。自分が考えていた「水準(得点)」と周りの人が捉えている「水準」(得点)とのギャップを知ることが、自己成長に繋がります。

マッキンゼーで長年仕事をされた安宅和人さんの著書に「イシューからはじめよ」という本があります。同氏はその著書の中で、「分析とは比較、すなわち比べること」とその本質について述べておられます。私はこの定義は、そのまま自己分析に適用できるものであると考えています。

他者からの客観的な評価並びに「比べてみる」ことによる分析を是非とも自己分析に取り入れてみてください。