英語力とTOEIC

国際性を客観的に評価する指標として、TOEICの点数は、高ければ高い程企業からは歓迎されます。高いTOEICのスコアはそれ自体アピールの材料にすることが出来ます。

TOEICのテストが日本で初めて実施されたのは、1979年12月で、受験者数はわずかに3,000人でした。現在では、1年にのべ230万人が受験しているので、隔世の感がします。

実際、グローバル化の波はとどまるところを知らず、企業も外国人と対等に渡り合うために能力の一つとして英語ができる人材を求める傾向にあるのは事実でしょう。実際に先輩からTOEICで高い点数と取っておくと、就職に有利だと言われたある学生さんも多いのではないかと思います。

大手企業のグローバル志向性

経産省の調査では、海外進出企業の7割が「グローバル化を推進するための人材確保が課題」と感じており、政府は、2020年までに日本人留学生を120,000人に倍増させる目標を掲げました。

経団連の新卒採用倫理憲章で、10年以上続いてきた新卒採用の広報開始や選考開始の時期を後ろ倒しにしたのも、政府の「留学生を倍増させよう」という方針と無縁ではありません。

下図を見てください。これは、日本を代表する4業種主要メーカーの、海外生産比率と売上高比率をまとめたものですが、両者ともその比率が年々高まっているのが一目瞭然です。全売上の40%が既に海外で、海外生産や売上高比率が50%を超えるのは時間の問題とみられています。

海外生産比率の推移 (主要300社) (%)
2011年度 2012年度 2013年度見込 2016年度計画
化学 24.2 25.0 26.8 30.5
一般機械 24.3 25.2 26.5 28.7
電機・電子 45.2 43.3 44.9 47.6
自動車 33.4 39.4 42.0 47.4
平均 31.8 33.2 35.1 38.6
海外売上高比率の推移 (主要300社)
2011年度 2012年度 2013年度見込
化学 30.1 31.1 33.6
一般機械 43.2 39.9 41.0
電機・電子 45.1 42.8 45.5
自動車 36.0 38.8 41.4
平均 38.6 38.2 40.4
 国際協力銀行 業務企画室 調査課2013年11月

いま紹介したデータのみならず、グローバル化はいたるところで進展していて、現在の学生が一線で仕事をする時代には、海外で仕事することが当たり前になります。この大きな流れに乗るには、英語が出来ることはとても有利になります。

一方で、日本の人気企業の中でも、マスコミ、建設、不動産、鉄道、電力、ガスなどの業界では、主要な事業活動が日本国内に限定されていることも事実です。そのため、これら業界では、英語力の高さは採用基準として、重きを置かれていません。また、海外展開を積極的にしている会社でも、「英語力は内定~入社後に身に着けてくれればいい」と考えている会社も少なからずあります。

但し、学生の皆さんも、企業というものは、環境の変化に対応して柔軟に変化する側面があることを理解しておいて欲しいと思います。

実際に私が新卒で入社したリクルートでは、2004年に中国に進出した時点では、海外売上高は0円でしたが、現在では世界16の国と地域に900拠点を持ち、2020年までには海外売上高比率を50%に高めようとしているとも聞いています。

日本は少子高齢化社会に拍車がかかり、人口は2050年には、現在の1億2700万人から9,000万人へと3割も減少します。一方で、世界の人口は70億から96億人へと逆に3割増えると予測されています。

こうしたことから、事業活動の舞台が現在ほぼ日本に限定されている企業でも、今後20~30年の間には、国際展開に拍車をかける会社が出て来ても全く不思議ではないのです。

そのため、英語力(具体的には、TOEICの点数)はどんな企業を志望する方にとっても、高めておくことに越したことはありません。

TOECIのスコア・点数の目安

一般的には大卒の平均は450-500と言われておりますが、それ自体が評価に値するスコアかと言われるとそこまでではありません。

あくまでもスコアとして表示された物であり、英語力ではありません。TOECIを選考・面接でのアピール材料としたいのであれば、評価されるのに見合うだけの実用的な英語力とそれに見合うスコアがあることが望ましいです。