緩急(チェンジオブベース)とは、話す調子を変えたり、変化をつけることです。

具体的には、話すスピード(はやく、ゆっくり)や声の大小(大きな、小さな)を変えることです。また、ここまでお伝えした抑揚や、強調、間を取り入れながら、話しに変化をつけることです。

人は変化に敏感ですから、総合的にこの緩急がつけられると話し方の表現力が飛躍的に高まり、聞き手の印象に残りやすいコミュニケーションをとることができます。

声のスピードの重要性

ここではまず、今までお伝えしなかった、声のスピードを変える重要性について紹介します。次の文章を口に出して読んでみて下さい。

「ゆっくりと走っていた車が高速に入ったとたん、またたく間に100キロに達しました」

これを読む際は、最初は車がゆっくりと走っているのでスローに話します。そして、高速に入ったところから変わり、「またたく間に100キロに」のところで早く話すことによって、スピード感・臨場感が伝わります。

次の文章も同じように声に出して、読んでみて下さい。

「学園祭の準備は、6月1日から10月31日まで4ヶ月間にわたって行われました。」

これを読む際にも、6月1日から10月31日をカレンダーに日が塗りつぶされるようなイメージを持ってゆっくりと話し、4ヶ月を強調すれば、相手の人には、時間の長さやその間にどれだけ力を入れたのかが伝わります。

時間の長さを伝える際には、ゆっくり話した方が、印象が強く、伝わりやすくなるのです。

声の大小・高低の重要性

次に声の大小です。声を大きくしたり小さくしたり、高くしたり低くしたりすることによって、聞き手を飽きさせない、メリハリのある聞き手・面接官の印象に残りやすい話し方になります。

例えば、感動した時に発する「おお」を、大きな声で発するのと、小さな声で発するのとでは、感動の大きさが違って伝わります。

落語家が話をしている様子を思い出してみて下さい。声の大小や、高低を上手く使い分けていますよね。

緩急(チェンジオブベース)は、話すスピード・声の大小に加えて、抑揚・強弱・間も含めた複合技術です。従って、一挙に全部できるようにするよりは、一つ一つを確実にマスターするようにしたほうが良いでしょう。

友人同志で「模擬面接」をする際には、是非ともこれまでお伝えした声の表現技法が使えているかを判定しながら技術の取得度合を楽しんでください。