コンピテンシー面接1

コンピテンシー面接解説

人事面接にも、様々なことを聞く「一般面接」と1つのテーマをじっくりと掘り下げる「コンピテンシー面接」があることは以前ご紹介したかと思います。

今回は聞き慣れない言葉である「コンピテンシー面接」について解説していきたいと思います。

コンピテンシー面接が導入された経緯

コンピテンシー面接が導入された経緯として、面接官は数多くの学生と面接するために、ついつい画一的な評価に流されてしまうこともあります。

例えば、「部長をやっていたのだから、リーダーシップがある」と判断したり、「準優勝したのだから、一生懸命苦しい練習に耐えた、つまりストレス耐性がある」といった判断に陥りがちなのが典型例です。

このように一般面接では、コンピテンシー面接と違って、候補者ひとりひとりの実力や仕事の適性を図るには種々の問題があると、以前から言われてきました。

実際に、倍率数十倍の難関企業と言われる人気企業でも、一般面接で面接官が優秀で仕事ができそうだと判断された学生が、入社後、成果が出せない(=優秀ではなかった)ケースが1990年代の後半に続出し、配属先の部署から人事部にクレームが入ることが、様々な企業で頻出したのです。

この背景には、厳しい経営環境で企業間の競争が激しさを増す中で、入社後早期に仕事を新人に任せ、活躍してもらう必要が企業経営の現場で高まってきたことがあります。

勿論、期待した成果が上げられなかった人が続出したのは、採用した人事部だけの責任ではないのですが、現場からクレームが上がってしまった原因の一つに、面接のやり方があるようにも考えられます。

例えば先ほどの面接の例で登場した彼は体育会の部長でしたが、部長になった理由は、他の人より、運動能力が優れていて、他の部員よりも活躍していたことが主たる理由かもしれません。

運動能力が優れていることと、リーダーシップがあることとは別ですし、ビジネスの現場で成果を出せることともほとんど無関係です。

また、大会で準優勝した理由は、他の部員の力に負うところが大きかったからかもしれませんし、部長の彼が披露した部活の強化方針も、もしかしたら他の部員が発案したものだったのかもしれません。

このように、候補者の自己申告のみが判断材料となる一般面接では、企業にとって有望な人材を選択する方法として、限界があると意識されるようになってきたのです。

そして、このような状況への対応策として、日本企業で2000年代初頭に導入されたのが、コンピテンシー面接です。

入社倍率が数十倍以上と言われている企業では、現在ではコンピテンシー面接が主流の面接方法になっています。

コンピテンシー面接の流れ

コンピテンシー面接は、概ね、次のような手順で進みます。

コンピテンシー面接1

具体的には、学生が答える内容としては下記のようになります。

Step1
学園祭でチャリティコンサートを実施し、成功したこと

Step2
コンサートの企画提案をした

Step3
部室で部員に作成した企画書に沿ってプレゼンを行い、議論して賛同を得た

Step4
イベント実現の為に、役割ごとの担当者を決めた。
→自分は、その中で予算管理、会計係りとなって、コスト見積もり、予算を作成
することになった。→予算編成の為の情報収集方法を話し合った。etc. etc. ・

Step5
収益源多角化のために、コンサートのパンフレットに広告を入れることを提案し、その営業チームを新たに編成することの賛同を得た。

等です。

コンピテンシー面接の類型

コンピテンシー面接で、じっくり学生のばっくぐらうんどを掘り下げたい一方で、大量の学生を短時間で評価する必要がある為に面接時間が限られている場合には、いきなりStep3から開始されることもあります。

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コンピテンシー面接のフローでいう第一場面とは、具体的に成果を上げた行動の中で、特に工夫したり、苦労した場面のことです。

例えば特定のミーティングや打ち合わせシーン、誰かとの対面(交渉や折衝、接客、販売等)シーン、プレゼンテーションを行っているシーン、ゼミや合宿でのシーン等などです。

コンピテンシー面接は、このような流れで5W1Hを詳しく聞くものです。

そのために、コンピテンシー面接を受ける学生は、質問に対して「考えて答える」のではなく、「思い出して答える」、これがコンピテンシー面接の肝になります。