「社会人基礎力の3つの力と12の能力要素」は、どれ1つとして疎かにはできない能力基準です。そこで、各基準の「意味する内容」「発揮できた例」「よくある誤解」の3点について私なりの解釈や考えを紹介していこうと思います。

前に踏み出す力(アクション) ⇔一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力

主体性は社会人基礎力の「前に踏み出す力」の三つの要素のうちの一つです。

前に踏み出す力は、「意欲・やる気」といった個人の内的レベルから、実際の目標達成など効果が目に見えて表れるレベルまで、いわば能動的行動に関する領域をつかさどる力です。

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「主体性」とは?

主体性⇔物事に進んで取り組む力

自らの行動は自分で考えて行う。これが主体性の文字通りの意味です。更に主体性は、自立性から積極性、さらに自己理解・管理・評価能力までカバーする非常に幅広い領域の力です。また、主体性は、自ら目標を設定し、その目標を達成するために必要な思考を働かせ、行動し、自らを管理・制御する能力まで含みます。

「主体性」を発揮できた例

・学生生活の中で難易度の高い目標を設定して、PDCAサイクルを自主的に回した
・就職活動においても、PDCAサイクルを自主的に回している
・自らの「能力開発テーマ」を設定し、PDCAサイクルを自主的に回している

主体性の発揮例として、「PDCAサイクルを自主的に回すこと」を掲げた理由は、主体性は社会人基礎力全ての能力要素をリードする力であり、自分自身が何かをやり遂げたり、能力開発する上で必須のことだからです。

また、主体性は、単に積極的に物事に取り組むことだけでなく、そのプロセスや結果を振り返り、上手く行ったことと課題として残ったことを絶えず検証し、課題として残ったことは、対策を立てて再度計画を立てるという循環があることにより、よりよく発揮される力であると考えているからです。

「主体性」のよくある誤解

・授業では、わからないことを積極的に教授に質問した。自分でわからない所を調べた。
・サークルでは、積極的に様々なイベントに参加した。

ここで挙げた例は、「積極性に進んで物事を行おうとする性質」によるところが大きいものですが、それだけでは十分ではありません。

主体性とは、「目的」や「課題」「難易度」を意識し「目標を自ら設定し、PDCAサイクルを自主的に回す」ことで発揮される能力であると捉えて下さい。このPDCAサイクルを自主的に回すことが、自ら計画、行動し、管理、制御することそのものだからです。