志望業界が決まらない方へ

自分が受ける企業を選びきれないので、アドバイスが欲しいという方が多くおられます。新卒生をナビサイトで募集する会社は、凡そ18,000社です。業界も約150に分けられます。そのため、自分にふさわしい企業を見つけることが難しいのは、とてもよくわかります。

しかし、志望企業を決めなければ、企業にプレエントリーすることも出来ません。つまり、就職活動を始めることが出来なくなってしまいます。

そうしたことは皆さん理解しているので、志望企業が決まっていない場合でも、とりあえず知っている会社にプレエントリーをしますが、やみくもやっても訳がわからなくなるだけなので、この方法はお勧めできません。

志望企業選定と志望業界選定

私がおすすめするのは、「企業選定の前に、まずは業界選定をする」ことです。実は4年前までの私は、業界研究を軽視し、企業研究だけすれば十分であると考えていました。しかし、そうした考えは改めました。

理由は、業界が異なると仕事の内容が大きく異なり、人によって向いている業界、そうではない業界がある程度絞れることがわかったからです。逆に、同じ業界であれば、会社が異なっても仕事の内容はそれほど大きくは変わりません。

ですので、まずは業界を絞って、その後実際に受ける企業を決めたほうが、個々の学生が自分に向いた会社と出会える確率が高くなるのです。

志望業界を先に決めるべき理由 「ビジネス・システム」

企業選定の前に業界選定するべきだと考えた理由の1つ目が、「ビジネス・システム」にあります。ビジネス・システムとは、顧客を終着点として、製品/サービスを実際に届けるまでに行う仕事の機能のことです。

businesssystem

ビジネス・システムは、業界によって大きく異なりますますので、業種5大分類(メーカー 商社 流通 金融 サービス(その他を含む))別に、少し詳しく説明します。

メーカー  
BtoBメーカーならば、上記【7】と【8】の仕事はありません。BtoCメーカーならば、上記【6】の仕事はありません。ただし、日本を代表するメーカーはBtoB、BtoCの両方を顧客とする会社が数多くあります。

商社    
総合商社の場合には、【7】【8】の仕事はありません。また【1】~【3】の仕事は、投資している場合には関与することがありますが、自社で投入する社員の数はごく少数です。専門商社の場合には、原則として【1】~【3】及び【7】の仕事がありません。

流通
百貨店・スーパー、CVSの場合には、【1】~【3】の機能は、委託会社が担うケースがほとんどです。また、【6】と【8】の仕事を担う人も限定されます。

金融業   
金融庁の指導の元、もともとの商品の差別性が低いため、【1】~【2】の仕事を担う人は限られています。【3】の仕事はありません。工場がないからです。また、直接営業が多いために、【8】の仕事がある会社は少数です。

サービス業その他 
商品やサービスの差別性が高いものの、【3】の仕事はありません。ただし、この業界は、一言でくくることが難しい為、業種大分類の枠組みで説明することが困難です。業種小分類で個別に上記の図を参考にビジネス・システムを検討する必要があります。

このように業界ごとのビジネス・システムを知ると、業界によって、仕事のフローや、重点領域に違いがあることが分かります。具体的には、【1】~【3】がビジネス上大切な要素となっているメーカーと、その要素が薄い非メーカーとのスピード感の違いや、投資の重点領域を感じ取ることが出来ます。

一般的にメーカーは、【1】~【8】全てが協力し合あいながらビジネスをしている為、非メーカーに比べて、長い時間軸の中で事業が運営されていますし、研究・開発・製造に多くの人材や資金を投資しています。