企業が採用選考で実施している筆記試験は各種ありますが、ここではその中で最も代表的な「SPI3」対策について紹介します。

性格テスト、言語/非言語などをすることは知っている人はいるかもしれませんが、具体的にそれがどのように評価されているかまでを知っている人はいないと思います。

同試験の年間利用会社数は10,620 社、受験者数はのべ179万人(2014年度)に登ります。間違いなく、日本で最も多くの会社が採用し、最も多くの学生が受験している試験です。

しかしながら、同試験に関して詳しく解説した「テスト対策書籍」が少ないため、多くの学生はこの試験について正しく理解できていないのが実態です。

「SPI3」が人事にどう表示されるか?

皆さんが受験した「SPI3」の結果は、企業の人事部には下図のような帳票となって届けられます。

spi3

報告書の左側には、性格特徴及び能力の得点が記載されます。今回は、この帳票の左側についてお伝えします。また、右側には、左側の得点に関する解釈・コメントが記載されます。

学生の皆さんが気にする「能力テスト(言語/非言語)」の扱いは、全体の中で、左下スペースのほんの少しだけです。そのため、「SPI3」は、単なる「能力検査」ではなく、「総合検査」と呼ばれています。

「SPI」が40年間、多くの企業で使われ続けてきた所以がこの1枚の帳票の中にあるのです

次に、「SPI3」の実際と、人事担当者が特に注意して見ている点について紹介します。(リクルート出身で、他企業の人事部役職者としてこのシートを採用に活用してきた3名に協力してもらいました。)

SPI3対策:1.「性格特徴」

(a)行動的側面

日常の行動特徴として表面に現れやすく、周囲から観察されやすい側面です。「社会的内向性 内省性 身体活動性 持続性 慎重性」の5項目で、「持続性」は高いほど良く、他は職種によって注意する項目が変わります。また、営業職採用の場合には、身体活動性の高さを重視しています。

(b)意欲的側面

「達成意欲」と「活動意欲」は、目標の高さや活動エネルギーの大きさなど、いわゆる意欲に関する側面です。これらは、人事役職者が「能力」と同様に、「SPI3」の結果で最も気にする項目です。今回協力してくれた3名は、「この得点が低いと仮に「能力」が高くても採用選考の対象からはずす」と異口同音に述べていました。この側面は、「自己肯定感」との相関が高い項目です。

(c)情緒的側面

気持ちの動きの基本的な特徴を表す側面です。ストレスや失敗の受け止め方や気持ちの整理の方法と関係性が深く、行動にあらわれにくい内面的な気持ちの動きを示しています。「敏感性 自責性 気分性 独自性 自信性 高掲性」の6つの項目のうち、「敏感性 自責性 気分性」が高い人は、面接で特に注意して人物を観察するとのことです。

(d)社会関係的側面

「SPI3」にバージョンがアップされた際に、初めて追加された項目です。厳しい状況や困難に直面した際に、人や組織とのかかわりの中で現れやすい側面です。「従順性 回避性 批判性 自己尊重性 懐疑思考性」の中で特に「回避性」が高い人は採用対象として慎重になるとのことです。この側面は、「他者軽視感」との相関が高い項目です。

SPI3対策:2.「能力」(言語・非言語)

「言語」「非言語」を合算した結果が、「基礎能力」として表示されます。3項目其々で標準得点と「段階」が表示されます。

段階は、「1~7」段階として表示され、段階と標準得点の一般的な出現率、人数は以下の通りです。(母数を民間就職人数として算出)

段階 1 2 3 4 5 6 7
標準得点 ~29.5 ~37.5 ~45.5 ~53.5 ~61.6 ~69.5 70~
一般的な出現率 2.30% 9.20% 23.00% 31.00% 23.00% 9.20% 2.30%
人数 1万人 4万人 10万人 13万人 10万人 4万人 1万人

「能力」試験は、学生の皆さんが、「SPI3」で最も気にしている項目です。なぜなら、「能力結果の段階」で面接企業が次の選考に進むかどうかを決定しているからです。

一般的には、多くの学生が入社したいと考える人気企業200社の合格者平均は段階6で、上場企業はでは5~6だと言われています。

しかし、どの段階で足切りするかについては、企業が情報を公表していないため、第三者にはわかりません。ただし、合格者の平均的な段階を獲得していれば問題はありません。

(「言語」、「非言語」で問われる能力の詳細は「SPI3対策書」をご欄ください。)