志望動機の書き方・考える視点

前回から引き続き、志望動機の書き方・考え方を紹介していきます。

企業を選ぶ上で重視していることは何か?

企業を選ぶ上で重視していることは何か? について考える上では、

【1】企業をどんな視点で見ることができるか?

【2】自分が重視している価値観と優先順位は?

【3】自分が重視している価値観の優先順位を決める上での自分の経験とは?

について考えることが大切です。

前々回、志望動機の書き方1 – 志望動機の構成要素では【1】を、

前回、志望動機の書き方2 – 自分の志望動機の確認では【2】について、言及しました。

今回は、【1】【2】【3】をどう結びつけて志望動機を考えるのかを解説します。

志望動機として「戦略や今後の方向性」を重視している場合

会社が柔軟に事業領域を変化・拡大している。

⇒ 自分自身も部活の試合で勝つために、自チームの強み・弱みを分析すると同時に相手チームの強み・弱みを分析して作戦を立ててきたことが勝利する上で一番大切なポイントだった。

また、組織の一体感も「勝つ」という目標に焦点を絞って厳しい練習をしたことにより高まった。その為、私にとって、「戦略や今後の方向性」が大切だと感じている。

志望動機として「企業理念」を重視している場合

企業訪問をしてみると、どんな人からも「お客様の為に」という言葉が発せられた。

⇒自分自身、サークル活動でいつも皆で共有してきたのは、「何の為にこの活動をしているのかであった。

具体的な方法論も大切であるが、絶えず目指す目標を共有したことがサークル活動がかけがえのないものになった理由であった。その為、私にとって「理念が共有されていること」が大切であると感じている。

志望動機として「事業内容や商品」を重視している場合

会社の事業が魅力的に感じる→御社の商品は、〇〇で困っている方々にとってなくてはならないものであるし、今後もそうしたお客様のニーズは増大する。

⇒ 自分がイキイキとしていた時を考えると、自分が役立っていると実感できた時や、人から感謝された時である。従って、私は御社でそうした困っている方々に役立てする事業を一緒に推進したい。

ただし、「商品が好き」といったことは、大切であるものの、その「好きなレベル」が大切です。前出の、unistyleのHPで公開されている下記の記事は出色ですから、是非とも参考にしてください。

「メーカーやBtoCの企業に多い「好きだから」という志望動機の典型例は下記のようなものでしょう。

幼い頃からTVのCMが好きで見てきました。仕事としても大好きなCMを生み出す仕事がしたいと想い、広告代理店を志望しています。

貴社の食品が好きで、毎日欠かさず食べています。この幸せを多くの人に届けたいと思い、貴社を志望しています。

こういった志望動機の多くが評価されないのは、端的に「好き」のレベルが低く、消費者として「好き」のレベルに過ぎないからです。サービス・製品を楽しむ側として「好き」というのと、そのサービス・製品を改良し、多くの人に提供するための施策を考え、実際に販売していくという仕事には大きな乖離が存在します。

同様に趣味のレベルで「好き」でも物足りないと思われてしまうでしょう。料理が好きで皆に振る舞うことと、仕事として毎日大量の料理をさばき、その対価としてお金を受け取ることには大きな乖離があります。それでも料理が本当に好きな人は仕事として、時には探求心を持ち、メニューを改善し、辛抱強く根気のいる立ち仕事を続けています。

企業が欲しい人材は、自社のサービス・製品が好きなファンではなく、自社のサービスや製品のファンを増やすことのできる自社の利益に貢献で切る人材です。消費者として、趣味として「好き」程度のレベルの人材では、自社のファンを増やしてくれる人材としては十分ではないため評価されていないと考えられます。

裏を返せば、「好き」という志望動機で評価されるのは、消費者・趣味レベルの好きでとどまらずに、仕事同様に生産者・提供者としても「好き」というレベルの志望動機です。」

志望動機として「仕事内容」を重視している場合

会社の仕事内容に魅力を感じる→御社では、お客様の課題を深く理解した上で解決策を複数提案する仕事である。また、自分でわからないことは、専門部署の知見を借りて解決策を提案することができる。

⇒ 私自身、ゼミのディスカッションでは同じ本を読んでも、人によって解釈や判断基準が違うことに楽しさを見出してきた。従って、御社の仕事内容そのものが魅力的である。

因みに、今後採用選考が行われる「総合商社」「海運」「メガバンク」「信託銀行」「生命保険」「損害保険」「証券」「総合不動産」等の業界では仕事内容そのものは大差ありませんので、「得意分野」や「仕事の仕方」「その他の理由」を志望理由にすべきです。

志望動機として「風土」を重視している場合

会社の風土に魅力を感じる

⇒ 御社では、社長から新入社員まで「さんづけ」で呼び合っておられ、新人でも遠慮なく自分のやりたいことを上司や経営者に提案できると聞きました。

⇒ 私自身、〇〇のアルバイトでは、社長に××をやらせて欲しいと提案し、実際に会社の事業として実現しました。自分にとっては、会社≒家族と同じだと思っていますから、フラットな組織風土が一番の魅力です。

志望動機として「人の魅力」を重視している場合

OB・OG訪問で、10人以上の人とあった所、どの人も魅力的であったし、親身に私自身の就活の相談にのってくれた。

⇒私自身、これまでの部活やサークル活動で楽しかったことや逆に辛かったことは、周りの先輩・同僚・後輩の存在が大きかった。また、「企業は人なり」の格言に大いに共感している。従って、貴社での魅力は何と言っても人です。

ただし、この「人や風土」を理由にする場合には、単に会社説明会であった人が魅力的であったとか、数人のOB・OGに会っただけでは説得力がありません。

最低でも、2桁の人に会うようにしてください。

「特権の魅力」や「基本データ」は、本音のところでは、「給与が高い」「大都市で働ける」「知名度が高い」「人から聞かれてた時にイメージが良い」等があったとしても、「志望動機」として公の場で語るべき内容ではありません。

「教育・研修がしっかりしている」や「女性が働く環境が整っている」は、志望理由としては有効な会社とそうでもない会社があると推察されます。

理由は、会社から与えられるものを志望理由とするよりも、会社に貢献できることを志望理由とすることが人事から歓迎されるからです。