先日、ある通信会社への就職を考えている学生とのコーチングのやりとりを元に、仕事の行為、「誰に」「何を」「どのように」についてのケースを深めてみます。

通信会社の仕事-「誰に」「何を」「どのように」

その学生が考えていた会社の採用ホームページに書かれていたコンサルティング職種の先輩の仕事内容は以下の通りでした。

「東京の北エリアにある中堅中小企業40ほどを担当し、お客さまが抱える経営課題や業務課題に対して、オフィスのICT化による解決策を提案し、システムの構築から運用、保守まで一貫したコンサルティング・サポートを行っています。

企業には業務の効率化、コストダウン化、拠点間でのデータ共有、セキュリティの向上など、さまざまな課題があります。

それらの課題に対して、最適な通信環境によるソリューションを提案・提供するのが私の役割です。

担当する企業は業種も業務形態も多種多様ですので、まずお客さまの現在のICT環境を把握した上で、お客さまの立場に立った提案をすることが重要になります。

システム導入後のアフターフォローも大切な仕事の一つです。お客さまの良き相談相手として、永続的に良い関係が築けるよう、お客さまのご要望を的確かつスピーディにお応えすることを心がけています。」

「誰に」

中堅・中小企業としか書かれていませんから、ネットで調べてみると。中小企業とは、製造業、建設業、運輸業では、従業員の数が300以下の会社で、卸売業、サービス業は、100人以下の会社、小売業では、50人以下の会社です。では、こうした会社の場合には、その会社の誰に会えば、経営課題や業務課題を教えていただけるのでしょうか? 結論は、社長、役員、部長職以上方々か、将来的に社長になりうる創業者一族の方々ということになります。ベンチャー企業でない限り、40~70歳の方々が多いと言えます。普通に考えると、忙しい方々です。飛び込みでは、なかなかお会いできないことになります。また、通常、通信を携わる部署は、こうした中小企業の場合には、総務部や情報システム部になりますから、総務部長や情報システム部長は一般的には、社内に在籍していることが多い為に、会いやすいパートナーとなります。ただし、中小企業の場合には、多くの場合、意思決定をするのは社長です。従って、社長に会えないと仕事が上手く進まないとも言えます。

「何を」

「オフィスのICT化による解決策を提案し、システムの構築から運用、保守まで一貫したコンサルティング・サポートが仕事です。」

これは、具体的には例えばどういうことでしょうか?

その内容がわかりづらい為に、再びネットで調べてみると、「オフィスでの作業環境として、当たり前のものとなった社内LAN。これまでその多くはパソコン本体とルーター間をLANケーブル、つまり有線で接続することが一般的でしたが、近頃はこれを無線化する動きが広まっています。

その背景として無線LANの通信速度がかつてに比べて格段に速くなったことが挙げられますが、それと同時に無線化することによるさまざまなメリットが評価される時代になったともいえます。」とありました。従って、例えば、「社内LAN」を無線化する提案がその一例であることが分かります。また、調べてみるとICTのセキュリティ対策や節電対策、電話代を削減する方法を提案することがわかります。

「どのように」

では、上記の提案をするためには、どのようにすれば可能となるのでしょうか? それは、「まずお客さまの現在のICT環境を把握」するところから始まります。その為には、お客様からお話しをお聞きすることになります。また、お客様からお話しをお聞きするためには、お客様に信頼していただくことが前提となります。そのためには、お客様に足しげく通うことやお客様にとって有益と思われる情報をお届けすることより可能となります。等々です。

一言で「お客さまが抱える経営課題や業務課題を解決する」提案といっても、この企業でいうところの仕事とは、経営層に近い人とお会いする行動をとること。現状をヒアリングすること。お客様を動機付けること。お客様の潜在・顕在ニーズに対して、場合によっては、社内SEとも協力しながら、最適な提案を行うことがその仕事になります。

最後に、この職種の場合には、「コンサルティング職」とありますが、具体的な仕事内容を調べると上記の内容ですから、「営業」「企画営業」と言い換えることもできます。ならば、「目標」と「評価」の仕組みを理解することが大切です。それは、個別に働く社員の方々にヒアリングする必要があります。理由は、どこにも詳しく書かれてはいないからです。

入社後の仕事を理解するとは、上記のような一連のプロセスに落とし込んで理解して、初めて可能になり、その理解に基づいて初めて、「やりがいがあるか否か」が実感できます。