強調 – 声の表現技法2
まず、「強調」について紹介します。
私たちは、大切なことは力を込めて話します。これが、強調(プロミネンス)です。また、強調は「際立ち」「際立たせ」「対比の強調」などとも言います。
強調するには、その部分を強めて(大きく)言うのが一般的ですが、音を高くしても強調されます。
強調によってどんな感じが相手に伝わるかについて、簡単なエクササイズをします。実際に声に出して例文を読んでみてください。
例文は「私は 利恵子さんが 好きです」で、太字が強調する箇所です。
(A)私は 利恵子さんが 好きです。 →【他の人は知りませんが、私は】
(B)私は 利恵子さんが 好きです。 →【他の人ではなく、利恵子さんが】
(C) 私は 利恵子さんが 好きです。 →【嫌いではなく、好きなんです】
いかかでしたでしょうか?聞こえ方が違ってきますね。このように、同じことを話していても、強調するところによって、伝わる意味が変わってきます。
面接で「声の強調」を使う例
実際にみなさんも、例えば、「私は 御社が 第一志望です」や「私は 営業職が 好きです」等、自分なりに思いつく文章を友達と強調する箇所を変えることにより、どんな伝わり方がするかを試してみると面白いです。
ちなみに、この技術は呼吸を上手くコントロールすることがポイントなので、忘れないでください。
間 – 声の表現技法3
次に、「間」についてお伝えします。
コーチングの世界では、初期の段階で「ペーシングのスキル」を学びます。
「ペーシングのスキル」とは、ベースを相手に合せることで信頼関係を築くという技術です。皆さんも、早口でまくしたてる人との会話を「うわっ、苦手!」と感じたことがありませんか?
日本語に「阿吽の呼吸」や「間抜け」という言葉がある通り、相手とタイミングや気持ちを一致させることは、一体感を高める上でとても大切なことです。
「間」のない会話は、正に「間抜け」です。逆に間を効果的にとることにより、相手に強い印象を与えることが出来ます。
テレビで以前に放映されていた「クイズ$ミリオネア」という番組では、「ファイナルアンサー!?」や「正解!」などと切り出す時の、「みのもんた」さんの間のとり方は、番組を強く印象づけるものでした。
間をうまくとる時に大切なことは、「重要なことを話す前は、ポーズ(間)を入れると、その後に話すことが強調されること」を知っておくことです。
重要なことを伝えるためにとるベストの間は、「2秒間」です。
例えば、
「私の好きな俳優は、福山雅治さんです」
と紹介するのと、
「私の好きな俳優は・・・・・・・・福山雅治さんです!!」
と紹介するのとでは、盛り上がり方が違います。
また、ポーズ(間)を入れずに「待ちに待った12月24日」と言うのを、「待ちに待った・・・・・・・12月24日」と言うのでは12月24日の特別感が全く変わってきます。
面接での「声の間」の例
みなさんも、例えば、「私はメーカー、中でも電子部品業界を志望しています」や「私の長所は、実行力と課題発見力です」等、思いついた文章で友達と間を入れたり縮めたりすると、どんな伝わり方がするかを試してみると面白いです。
就活生によく見る「強調と間」
「間」に関連して、コーチングしている際に私がしばしば感じていることをお伝えします。
「えーっと」や「あの~」や「その~」といった言葉を皆さんも会話中によく使うと思います。これらの言葉は、言語学では「声を出した間」と言います。一方、何も音を出さない沈黙を「声を出さない間」と読んで区別しています。
何故「えーっと」と「声をだした間」が出るのか?
それは、考え事をしている間に沈黙ができることが怖いのと、「何か言わなきゃ」と焦ってしまうことに理由があります。そして、その奥には、人とのコミュニケーションに自信がなく、ゆとりがないことがあるのです。
これを直すには、「沈黙」を怖がらないこと。寧ろ「間」の重要性を認識して、「間」のとり方を普段から意識しないでも出来る技術にまで高めることです。
もし、自分が「えっーと」と話しているのに気付つき、それを止めて「間」に変えるようになれたら、その技術が身に着いてきた証拠であると思って間違いありません。