志望業界の選択、業界研究が必要なもう一つの理由に、業界によって「仕事の行為」が大きく異なることが挙げられます。

仕事の行為とは?

以前のブログでは、仕事とは「目的」を見据えた「目標」を達成することだと述べましたが、「仕事の行為」とは、「どのように目標を達成するのか」を指します。

仕事の行為は、「誰」に対して「何」を「どのようにするのか」に分けて考えることが出来ます。例えば、消費者向けのある商品を開発する仕事の場合には、「一般消費者」に対して、化粧品、食品、医薬品、自動車、電化製品、等々の「商品やサービス」を今までの技術の蓄積やマーケット特性を踏まえて、「新たに開発する」ことが仕事です。

また例えば、総合商社の場合には、「企業」に対して原材料や素材やエネルギーといった「素材や資源」を「仕入れたり、採掘する権益を確保することにより提供する」ことが仕事です。

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図表を見てください。これは、「仕事の行為」をわかりやすく図解したものです。

同一業界の場合には、会社によって仕事の水準(レベル)に違いはあるものの、仕事の行為【誰に 何を どのように】には、大きな違いがありません。逆に言うと、仕事の行為は業界によって大きく異なります。

仕事の行為の一例 ~ リクルート ~

私自身の身近な例を紹介しますと、私が勤めていたリクルートでは、長く形のないもの(無形)を法人に対して、個人プレーで、相手の相談に乗りながら(非定型)営業活動をしていました。これが、リクルートの典型的な「仕事の行為」でした。

リクルートはそもそも自社の社員に一生勤めてもらうのではなく、ある段階で会社を辞め、転職や独立を促す風土があり、実際毎年多くの社員が会社を離れていきます。

リクルートをやめ、転職したメンバーからは、「自分は形が決まったものを扱う(有形)会社に入って苦労した」や「個人相手の仕事は難しい」、また「やり方が決まっている定型の仕事は自由度がなくて嫌だ」という愚痴を聞かされることがあります。

一方で、リクルート出身者が転職したり、起業した後、成功している業界もあります。それは、「無形の商品やサービス」を扱い、「法人」に対して、「対面で個人プレーを中心に非定型」の仕事を行う「IT、メディア、広告、人材、教育、コンサル」等です。これらの業界では、もともとリクルートでやっていた「仕事の行為」がそのまま役に立つので、うまく行く人が多いのです。

このように人には、得手不得手があり、また、好き・嫌いもあるので、まずは業界ごとの「仕事の行為」を確認して、自分にあった業界を選定することが重要なのです。