長所と短所は企業が重視しているポイントの1つです。履歴書に記入するだけではなく、エントリーシートや面接の場でも、実際よく聴かれます。

このページはエントリーシートに書くべき「長所・短所」の定義や、具体的には「性格上の長所・短所」の考え方を解説した記事になります。

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長所と短所の定義

しかしながら、その割には、「長所・短所」の定義は曖昧です。私なりに考察すると、長所・短所には2種類の分野があります。

1つ目は、性格上の長所・短所です。通常、長所・短所と言えばこの性格上の事柄をさします。性格上の長所・短所は人間であれば、誰にでもあります。

2つ目は、仕事をする上での能力としての長所・短所です。これは「社会人基礎力」の12の能力要素に照らしてみれば自分の水準を測定することが可能ですから、明確に答えることができるので大きな問題にはなりません。

逆にやっかいなのは、『性格上の「長所・短所」』です。なぜなら、学生の皆さんの考える性格上の長所・短所の幅がとても狭いからです。私が見てきた学生さんのほとんどが、せいぜい10程度の長所・短所のワードで収まる言葉しか書けません。

また、そもそも、自分の性格上の長所・短所について考えるのであれば、「性格とは何か?」についての知見がなければならないのですが、性格について正確に答えられる人には、今まで一人もお目にかかったことがありません。

「性格」について自己分析する

そこで、ここでは、「性格」について長年(本当は、下記で紹介する以上の途方もない年月)研究し、多くの皆さんに支持されているエニアグラムについて紹介します。

エニアグラムは、1980年代末に、全米と日本でも翻訳出版されてベストセラーになりました。そのため年配の社会人の方の方が、若い方よりも馴染みがあるのではないかと思います。エニアグラム学会もある程です。また、スタンフォード大学では、MBAの授業の中で活用されています。

エニアグラムでは、人間には9種類の性格があり、全ての人は、そのどれか1つを持って生まれてくるというのが公理です。

自分が9種類のどのタイプに属するかは、各20の質問(全部で180)に答え、一番当てはまるものが多かった点数が、自分のタイプになります。最初は1つのタイプだけではなく、2~3タイプにもまたがるかもしれません。

これから就活の準備をされる皆さんに、自分の性格を把握するために、エニアグラムの活用を進める理由は、9タイプ其々に「よい状態の時」と「悪い状態の時」の傾向が整理されているからです。(下図参照)

良い状態の時 悪い状態の時 タイプ
タイプ1 整理能力がある 神経質 完全でありたい人
克己心 片意地
正直 独りよがり
批評眼が鋭い 押しつけがましい
理想に向かって努力する 嫉妬心が強い
社会性に富む 道徳を振りかざす
努力家 融通がきかない
精度が高い 小心
タイプ2 愛情細やか お節介焼き 完全でありたい人
適応力に富む 他人に対して操作的
行動力がある 八方美人
心が広く温かい 嫉妬心・独占欲が強い
親切 被害者意識が強い
情報収集力がある 論理性にかける
施行に柔軟性が或 節操がない
勘が鋭い 独りよがり
タイプ3 積極的 自己中心的 成功を追い求める人
明るい スタンドプレーが多い
行動力に富む 不誠実
勉強家 生意気
明確な目標がある 冷たい
能率が良い 自慢好き
チームプレーが得意 自己過信
自立心が強い 過度の競争心
タイプ4 創造的 感情の浮き沈みが激しい 特別な存在であろうとする人
ユニーク 自分勝手
感受性が豊か 依存的
ロマンティスト 被害者意識が強い
芸術的 嫉妬心・独占欲が強い
洞察力が鋭い 独善的
人を忍耐強く支える 自分の思いに拘りすぎる
センスが良い すぐに引き困る
タイプ5 分析力に優れている 極端に消極的 知識を得て観察する人
聡明 知性への慢心
忍耐力がある 知識に拘りすぎる
独立独歩 順応しない
冷静沈着 他人行儀
視野が広い 愛想がなさ過ぎる
タイプ6 暖かい 疑り深い 安全を求め慎重に行動する人
情愛部会 怒りっぽい
忠実・誠実 決断力がない
洞察力に優れる 自己不信が強まる
面倒見が良い 被害者意識が強い
論理的で聡明 感情が不安定
ユーモアやウィットに富む 極度に保守的
責任感がある 詮索好き
タイプ7 発想力に富む 集中力がない 楽しさを求め計画する人
明るく楽天的 忍耐力がない
集中力がある 考えにまとまりがない
行動力がある 怒りっぽい
自立心が旺盛 無責任
困難にくじけない 自己陶酔的
好奇心が旺盛 場当たり的
ロマンティスト 協調性がない
タイプ8 パワーにあふれている ケンカ腰 強さを求め自己主張する人
正義を重んじる 柔軟性がない
勇気がある 鈍感で無礼
本能的直観力に富む 人を人と思わない
独立心旺盛 自己中心的
率直で飾らない 猜疑心が強い
面倒見が良い 傲慢で生意気
自信にあふれている 命令的
タイプ9 穏やかで寛大 自信がない 調和と平和を願う人
人の気持ちを理解できる 面倒くさがりで怠け者
協調性に富む 現実逃避的
平和と調和を保つ 不勉強
偏見を持たない ずぼらで無神経
忍耐力がある 意地っ張り
飾らず自然 ことなかれ主義
動揺しない 消極的

エニアグラムのそれぞれのタイプでまとめられている「良い状態のとき」の傾向は、このタイプの人の長所、逆に「悪い状態の時」の傾向はそのタイプの人の短所と捉えることができます。

自己の性格について分析する

一旦自分がどのタイプに分類されるのかが分かれば、自分が悪い状態の時に陥りがちな思考や行動を予め知ることができ、自分の行動をコントロールする際に役立ちます。

また、他人を見る時には、仮に自分にとって嫌な発言や振る舞いがあったとしても、それは「悪い状態」の面が出ているだけであり、その人の「良い状態」の時には、このようなに素晴らしい面があることを知ることができるので、「他者軽視感」を低下させることに役立ちます。

また、履歴書やエントリーシートに記入する際や、面接で聞かれた時には、PREP法に基づいて、自分の経験と紐づけて語ることにより、性格上の「長所」「短所」をわかりやすく、自信を持って表現することができます。

私自身が180の質問によって導かれたのは「タイプ7の楽しさを計画する人」です。実際、自分がこのタイプの性格の人間であることを知って、人生が楽しくなりました。皆さんも自分がどのタイプかを知ることにより、人生が変わるかも知れませんよ。