最後に「心」の領域から「感謝の心」を「α」として位置づけました。「感謝の心」は、企業で働き成功している皆さんが最も重視していることです。

私はリクルート勤務時代に、実にたくさんの経営者にお会いしました。その際に、「経営者として、一番大事にしていることを1つだけ挙げて下さい」と訊くのを習慣にしていました。すると、版で押したように「お客様に感謝すること」という答えが返ってきました。これは、ホントに本当のことです。

どの経営者も実は裏で示し合わせて、私をからかっているのではないかと疑念すら抱くほど、一人残らず同じ答えだったので、「この気持ちがない人は、経営者にはいないのではないか」というのが今の私の思いです。特に創業者にはこの気持ちを強く抱いているようでした。

感謝の心と仕事

営業の仕事が長かった私ですが、個人的にもやはりお客様の存在は常にありがたいと思っていました。新規開拓営業をしていた時は、何件も何件も断られ続ける日々が続きます。そんな時、会って話しを聞いて貰えるお客様がいると、本当にありがたいと感じました。

自分自身そんな経験をしてきたので、一緒にチームを組んでいた部下には、「お客様に喜んでいただくために仕事をすること」と「お客様にたいする感謝を気持ちを忘れないこと」の大事さを繰り返し伝えました。

時間が経ち、メンバーの中で少し成長の度合いに差が出てきました。最初はもともと持っていた能力の高いメンバーがいい仕事をしていたのですが、徐々にコツコツと努力した人が頭角を現してきました。

このコツコツと努力を継続する原動力となっていたのが、「お客様の期待に応えたい」という想いと、その奥にあるお客様への感謝の気持ちであったと思います。

自分の為の努力は、「自分がまあこれでいい!」と思ってしまえばそれまでですが、人のためにやることには、際限がないからです。

感謝の心と生活

私は日常生活でも感謝すべき人々に囲まれています。

今、日本では、平和が守られていますが、テレビをつければ中東での戦争や戦闘行為がもたらす悲惨な出来事が毎日のように放映されています。平和な環境で暮らせるのは、世界的にみると決して当たり前ではないのです。

私たちが日本で安心して、快適に暮らしていられるのは、自衛隊、警察ほか多くの人の支えがあるからなのです。

毎日電車で会社に行けるのは、JR・私鉄など鉄道各社の皆さんが電車を安全に運航していてくれるお蔭です。毎日、美味しい料理が食べられるのは、農作物を育ててくれた農家さん、魚をとってくれた漁師さん、届けてくれている運送会社の皆さん、売っていただいているスーパーやコンビニの皆さんのお蔭です。

家で毎日楽しく快適に暮らせるのは、テレビに登場する芸能人・ミュージシャン・スポーツ選手、ニュースキャスターのお蔭です。また、家を造ってくれたハウスメーカー、大工さん、家電を造ってくれた家電メーカー、売ってくれた量販店のお蔭です。もちろん、家族のお蔭もあります。そして、今まで育ててくれた両親、先生、先輩方のお蔭です。毎日、友達と楽しく過ごせるのは、友達本人の他、その友達自身を支えている人達のお蔭です。

このように、私たちはそれこそ1日だって、他の人やその人達が造ってくれたものの助けなしでは生きていられません。ちょっと考えてみれば、人に対して常に感謝の気持ちを持つのは、むしろ当たり前のことなのです。

感謝の気持ちとメール・文例

感謝の気持ちは就活で関わった人や物事に自然に現れます。

特にメールや面接での直接の接触を持った際に、感謝の心は顕著に表れます。

「他者軽視感」という新卒採用基準での要素を以前に紹介しましたが、可能な限り排除しておかないと就活・あなたの選考の妨げとなります。

事例紹介:経済深々

私の好きなテレビ番組に、毎週金曜日の夜9時からBS11で放映されている「経済深々」という番組があります。経済ジャーナリストの財部誠一さんが、様々な経営者を呼んでインタビューする内容です。

この番組には、トヨタ自動車の社長や、三井住友銀行の頭取、JTBの会長など日本を代表する企業の経営者が、生で登場しています。

この番組をみていると、出演している日本を代表する企業のトップから、社会やお客様、従業員に対する感謝の言葉が語られるのを目の当たりにすることができます。

「人の上に立つ人は、多くのお客様やパートナー、従業員に支えられて事業や仕事をさせて貰っているという気持ちを強く抱いている。そのため感謝の心をとても大切にされているんだな。」この番組をみると、いつもこんな思いが湧き上がってきます

事例紹介:「赤本」 – 清水英雄氏

最後に、多くの経営者に読み親しまれている清水英雄さんの「赤本」から、詩を2篇紹介します。

 ありがとう

一杯のあったかいお茶にありがとう やわらかな香りを漂わす沈丁花にありがとう おいしい料理をありがとう ホホをやさしくうつそよ風よ ありがとう ドアーをあけてくれてありがとう  ありがとうと素直に言える豊かな心 ありがとう ありがとうを素直に受け入れる豊かな心 ありがとう ありがとうがはずむ一瞬は いつまでも 心に残る永遠の一瞬 いつでもどこでも 誰にでもありがとう  ありがとうと言える時 心が歌ってる 踊ってる 恋してる こうした素敵な1日が 今日も送れてみなさん ありがとう  このようなに広く豊でステキになれる わたしの心よ ありがとう

 

一日に何回? ありがとう

あなたは一日に何回ありがとう を言っているだろう 一度ゆっくりと考えてみたら少ない 少ない ありがとうといっていない どうしてなのか 一度ゆっくり考えてみよう ただなんとなく過ごしているから ただなんとなく仕事をしてるから ただなんとなく生きているかもしれない、、、、、出会いを 出来事を 時間を 空間を 風景をしっかりと受け止めていくと あなたにかかわるあらゆる存在が 光輝き 存在感を増してくる 一日にありがとうを何回言っているのだろう 一度数えながら一日を送ってみようよ 今まで見えなかったところが見えてきて 今まで感じなかったことに感じるようになってきて 今まで知らなかったことが分かるようになってくる

あなたの一日がもっともっと素敵なかけがえのない一日になるから、、、、

 

繰り返しますが、多くの経営者が「感謝の心」を大切にしています。また、以前紹介した「他者軽視感」を低めるためにも感謝の心は大切です。

ある企業の採用担当者がいっていました。「二人の候補者がいて、他の要素が甲乙つけ難かったら、最後は人間性で決める。」就活を勝ちぬく人間性の鍵が、感謝の気持ちを持っているか否かなのだと思います。