企業の求める「新卒採用基準」とは、「人間力」「仕事力」「表現力」「就活スキル」「α」を一枚にまとめたものです。そして、自己の現在の「水準」をチェックし、最終的に自分の水準(レベル)を点数化したものが、「自己分析表」です。

「新卒採用基準・自己分析表」については、就活コーチのホームページから誰でもダウンロードできますが、おさらいの意味も込めて改めて紹介します。

項目(基準)の関連性

「人間力」は就活や人が集団の中で生きていくためのベースになるものであるために、独立して点数化しました。

「仕事力」「表現力」「就活スキル」は、其々に関連しているために、掛け算で算出しました。例えば、一般に体育会運動部の主将は、就活を熱心にしなくても、企業の受けがよく、就活には苦労しません。理由は、部活の中で「仕事力」が養われているからです。また、コミュニケーション力が高い人は、就活スキルにさほど力を入れなくても就活に成功しやすいものです。既に、「表現力」が養われているからです。「就活スキル」の中核をなす「コンピテンシー面接」に合格するためには、「仕事力」の向上を目指して学生生活の充実を図る必要があります。

このように、3つの力(スキル)は関連性が大きいものです。

習慣を中心とした「α」は、「人間性」との関連性が高いものの、他の4つとは独立しているために、個別に加えることとしました。

項目のウェイトづけ

「人間性」が25%
人間性と関連が深い「習慣」が12.5%
「仕事力」「表現力」「就活スキル」を62.5%としました。

理由は、「人間性・習慣」と「能力」を分けた場合に、どちらも大切ですが、面接の合否は企業から「仕事で成果を上げられる人」を採用したいという観点で判断される為、「能力」要素が「人間性・習慣」要素よりも高いからです。

得点化

全体を200点満点としました。小・中・高・大学のテストは通常100点満点ですが、そうしたテストの最終決戦が就職試験だと考え、「2倍は大切である」というメッセージを込めています。

こうして完成させたのが、以下の公式です。

「新卒採用基準」=「人間性」+「仕事力」×「表現力」×「就活スキル」+「α」

数値化した際の各項目の満点は、

「人間性」⇒50点
+(「仕事力」×「表現力」×「就活スキル」)⇒125点
+「α」⇒25点

合計200点。

「仕事力」×「表現力」×「就活スキル」は、各能力の満点が5点になるように、平均の値を算出します。

次に、ここで算出した「自己分析の得点」と志望企業群への「入社可能性」について紹介します。

 従業員規模別求人倍率と企業ランク

下図を見てください。これは、2014年に実施された「第31回リクルートワークス 大卒求人倍率調査」で明らかにされた従業員規模別求人倍率です。

従業員数 5,000人以上 5,000~1,000 1,000~300 300人未満
求人総数 45,800 115,500 142,000 379,200
民間企業就職希望者数 83,000 137,100 119,200 83,900
求人倍率 0.55 0.84 1.19 4.52

従業員5,000人以上企業へ入社出来る学生は、46,000人です。この数字は、423,000人という民間就職希望学生数(大学・大学院生)の凡そ1割に当たります。従業員5,000人超の企業の大多数は東証一部上場(1,800社)かそれに準ずる企業です。

この調査結果からは、従業員規模によって、求人倍率が異なっており、従業員数が多い企業ほど、入社難易度が高いことを表しています。(これは、あくまでも全体の傾向です。例えば、コンサルティング会社や投資銀行、メディア系企業等、従業員数が少なくても入社難易度が高い会社は当然あります。)

そこで、一般論として、東証一部上場企業に入れるランクを特S,S,Aランク、従業員数1,000~4,999人の企業に入れるランクをBランク、300~999人の企業に入れるランクをCランク、その他300未満企業or内定なしをDランクと規定しました。

得点 ランク 割合(推定) 人数(43万人中) 入社可能企業の目安
171~200点 特S 0,2% 1,000人 最難関企業
126~170点 S 5% 21,500人 人気企業(200社)
101~125点 A 10% 43,000人 東証1部上場企業
76~100点 B 35% 150,000人 1000人超企業
51~75点 C 25% 108,000人 300人超企業
15~50点 D 25% 108,000人 300人未満企業or内定なし

その上で、志望企業群から内定を獲得するためには、

〇人気企業200社への入社希望者は126点以上を獲得しSランク
〇東証1部上場企業への入社希望者は101点以上を獲得しAランク
〇従業員千人超企業への入社希望者は76点以上を獲得しBランクを目指すことになります。

私は、今年のように、長期化する就活では自分の実力「やれること」を高めながら就活をすることが大切であると思っています。

従って、「月に1回」を目安に、「新卒採用基準・自己分析表」の自己チックをして、「自分の実力」の向上度を楽しんでいただきたいと思います。