今回からは、新卒採用基準の項目で大切な「表現力」について紹介していきます。

私が企業の人事担当者とお会いすると、「最近の学生は、コミュニケーション力が不足していますね。」といったことをしばしば聞きますし、書店に行けば、コミュニケーションに関する書籍で溢れています。

そこで、まずコミュニケーション力とは何かについて考えてみます。

「コミュニケーション力」とは

就活の際に問われるコミュニケーション力とは、相手方の企業の人事担当者(リクルーターを含む)と学生が、相互に円滑にツーウェイで話しあうことが出来る力だといえます。

実際の面接では、学生側、人事側は1対2、または複数対複数で行われますが、説明を分かりやすくするために、ここでは1対1の場面で考えてみます。

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ツーウェイコミュニケーションでは、

1.相手の「質問」を「傾聴」すること。また、相手にわかるように「発信」することが大切です。

2.その奥には、「考える力」が問われています。

考える力の構成要素としては、「理解力」に加えて、社会人基礎力の能力要素である「柔軟性」「状況把握力」「課題発見力」「計画力「創造力」が必要です。理解力は、「社会人基礎力」ではなく、「基礎学力」の範疇と捉えて下さい

3.そして、このやりとりを「明るく、楽しく」行い、かつ「説得力」を相手に感じさせることができると、面接官が「合格」と判断し、そこに至らなければ「不合格」となります。

1. 2. は、社会人基礎力の範疇ですが、3.で求められる「明るく、楽しく、説得力」を感じさせること、即ち「好感度」を相手に感じさせるには、別の素養が必要となります。

以前に「企業は仕事が出来る人」を求めている。そして、その中核の能力とは、「社会人基礎力」であると述べましたが、コミュニケーションを「明るく」「楽しく」「説得力」を持って行うためには、「エンターテインメント」の要素も必要になるのです。

この要素は、何も舞台やテレビの世界だけに限ったことではありません。人は誰でも、楽しいことが好きです。実際に、私が長い間仕事をしている「研修講師」の世界でも、いかに参加者を惹きつけ、魅了し、説得力を持って伝えるかが常に問われています。

そうした要素に欠ける講師は、クライアントである企業から長年にわたって研修を依頼されることにはなりません。また、例えば営業の世界においても、会話の中でお客様に楽しんでいただくスキルが高ければ高いほど、信頼されたり、顧客を紹介していただけます。

このように、「楽しく会話する」ことや、「好感してもらう」のは仕事の場においてとても大切なことです。それは「採用面接」の場面でも同様です。

そして、相手に好感度を持ってもらうためには、表現力が不可欠なのです。

コミュニケーション力は表現力の一部

 

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コミュケーション力は確かに表現力の中核的な要素になるので大切ですが、特に面接の場では、上図のようにコミュニケーション力の外側にある「表現力」が問われています。

面接では、「第一印象が大切」だとよく言われますが、第一印象は「コミュニケーション力」とは直接の関係はなく、「表現力」の要素です。例えばサークルで新歓の飲み会があったとして、この子と友達になりたいと思うか、何となくあいつとは近づきたくないといったことは、言葉を交わす前になんとなく感じたりします。このようにパッと見で相手に印象を与える力こそ「表現力」で、実際に話をしてみて、面白かったり気があったりするかどうかが、「コミュニケーション力」のなせる技なのです。