「姿勢」「手」「目」も印象を形づくる上では大切な要素ですが、中でも最も大切な要素は「顔」です。皆さんも「顔」、並びにこれからお伝えする「表情」がいかに「面接」の場面では大切であるかは、既にご存じだと思います。

それでは、どうすれば魅力的な表情が作れるのでしょうか?

魅力的な表情は「笑顔」とは限らない

魅力的な表情を作るために、まず、第一に重要なことは、「表情と内容と合せる」ことです。広告業界では、「絵と言葉を合わせる」ことが重視されています。テレビ、雑誌、動画、写真、イラスト、全ての媒体において、絵と言葉がチグハグな表現はNGです。

面接の場面では、面接官が見ている「絵」とは、主として皆さんの表情と手です。そのため、話の内容に合わせて、手の動きや表情を変えることが大切になるのです。

以前私がコーチした女性は、いつもニコニコと笑顔の絶えない方で、面接でもいつものように笑顔で話しをしていました。しかし、常に笑顔で話をすればいいというものではありません。そのことに気がつかなかったのか、「面接では、笑顔が大切」ということを鵜呑みにして、彼女は重い深刻な話題でも、ニコニコとしていたのです。おそらく、面接官には奇妙な印象を与えてしまったのですしょう、面接はうまく行きませんでした。

この失敗の後、彼女には、表情を話のテーマに即して変化させることをコーチングし、その後の面接は大過なくこなせるようになり、彼女の就活は成功しました。

「表情は話のテーマや内容に合わせること」。大切なことですので、決して忘れないように肝に銘じてください。

「笑顔」の重要性

「いつも笑顔で話せばいいという訳ではない」ということを紹介した直後ですが、「笑顔」は魅力的な表情を作るために欠かせない要素なのは間違いなく、相手に好印象を持ってもらうために不可欠です。

そもそも、笑顔とはなんでしょうか?この質問は一見単純ですが、実は難しい問題です。もし、「絵顔?笑っている顔だろう?」と思ったとしたら、少し短絡的すぎるので、もう少し深堀して考えてみましょう。

先にも紹介したニューマン氏は、「笑顔とは、ある物事に対しての筋肉の反応」だと定義しています。

コミュニケーションとは、お互いに投げかけ合った言葉や、表情に対して「反応」しあうことです。ニコッと笑顔を投げかけられたら、相手も笑顔を返すのが普通の反応で、相手の笑顔に対して無表情でいることは、とても失礼なことであり、不自然なことです。

面接の場面では面接官が笑顔を投げかけてくれることは期待できないので、自分たちの側から「笑顔」を投げかけることが大切です。ここで、笑顔を投げかけ損なうと面接の時間中終始、お互いに笑わない、冷たい空気が流れることになってしまいかねません。

「顔の筋肉」を意識する

そうならないためには、「笑顔を発信」しましょう。笑顔というのは、顔の筋肉を動かせば作ることは可能です。自ら、意識して「顔の筋肉」を動かして笑顔を作りましょう!。

顔には40種類の筋肉があり、総称して「表情筋」と呼ばれています。表情は、眉、目、鼻、頬を動かすことで作られます。

人は、相手の表情筋の動きから、感情や気分を読み取っています。表情筋の動きが少ないと、無表情で、何を考えてるいるのかが相手には伝わりづらくなります。

逆に表情筋を活発に動かせる人は、感情豊かに映り、場や周りの雰囲気を明るく活発にする人に思ってもらえます。

ディズニーのミッキーマウスやくまのぷーさん等の人気キャラクターの顔を思い浮かべてください。皆、口角がキユッと上がっています。口角が上った顔は笑顔に見えるので、それだけで好印象を与えることができるのです。

ですので、面接官と最初に顔を合わせる瞬間に、是非、口角を引き上げてニコニコとした笑顔を発信してください。そうすれば、相手も笑顔で答えてくれることでしょう。

 

相手の反応で場が温まるのを待つのではなく、自分自身から、笑顔で働きかけて場のムードを構築することが大切です。

最後に、「笑顔は、話の内容が面白いから自然に出るものであり、不自然に作るものではない」というお考えの方に一言お伝えします。

実は、私自身もかつてはそう考えていたのです。ですから、そう考える人の気持ちもよく分かります。しかし、騙されたと思って試しに、1分間だけ、口を大きく開け、口角を引き上げて、ハハハハハと声を上げて思いっきり笑ってみて下さい。それだけで、楽しい気分になったはずです。