2016卒の学生さんとコーチングをしている中で、実際にあった事例を紹介します。六大学に在籍する経済学部の男性(A君)の実話です。

彼はプレエントリーを100社程行い、大学限定の合同会社説明会にとりあえず参加していました。

そこで、この後は、何をすればいいのかわからない!というのが彼の悩みでした。

プレエントリー業界選択

次は当面、個別の会社説明会に行けばいいんしゃないの?と提案したところ、彼は、「どこの会社説明会に行けばいいのか?がわからないので動けない」とのことでした。

そこで、A君は優先順位がついていないということが問題だった為にまず、行きたい業界を5業界まで絞ることにしました。

彼が志望度の高い業界として挙げたのは、
1位 自動車メーカー
2位 飲料メーカー(特にビール)
3位 石油業界でした。

まず、自動車業界を第1位に挙げた理由を尋ねると、「世界の中で、日本の車メーカーの存在感が大きいし、今後も将来性が高い」というものでした。

なるほど、「いい所を見てるなぁ」と思いながら、質問しました。

自動車メーカーへの思い入れはあるか

ところで、「車」は、好きなの?「どんな車に乗っているの?」「ドライブとかはしばしばするの?」。

彼の答えは、「車はそこまで好きではありません。免許は持っていますが、東京では怖くて乗れません。長期休暇で帰省すると乗る程度です。ほとんどペーパードライバーです。乗っている車は、プリウスです。ただし、自分で買ってはいませんし、他の車との違いも『ハイブリッド車』ということぐらいしか知りません。」というものでした。

自動車メーカーでの仕事のイメージはあるか

また、A君に質問しました。自動車メーカーに行って、どんな仕事をしたいの?」。

残念ながら彼には自動車メーカーでの仕事のイメージが全くついていませんでした。

そこで、私がお話しした点は、以下のことです。

自動車メーカーに入社して多くの文系社員がする仕事は、国内では系列販売店を5~10店舗度担当して、その販売店の売上を上げてもらう手伝いです。

具体的には、新車を紹介したり、販売促進策を提案すること。また、営業社員の教育や仕入れ値の交渉、店舗の経営数値分析と改善策の提案等です。

また、海外では、販売店網の構築や、販売店指導、新規工場の立ち上げや既存工場の稼働率や生産性アップ等等です。

そうした仕事の概要を詳しく話した後に彼に質問しました。

ところで、自動車メーカーで、そうした仕事をする自分がイメージできますか?

彼の答えは、「はい。何となくわかります」とのことでした。

続けて彼に質問しました。

自動車メーカーが好きになれるか

じゃあ、君が相手にする自動車メーカーのお客様やパートナーさんに共通していることって何だと思う?

A君からは予想した通り、明確なイメージがありませんでしたので、答えを伝えました。

それは、「車が好きなことです!」。また「車にロマン」を感じている人です。自動車メーカー社員の方々は、「車が好きだし、車に乗ることが楽しいから、お客様に車をお勧めできるんです!」と。

そして、続けて質問しました。

車が好きでもない人や車にロマンを感じられない人が、車の良さを伝えられる?。教育できる? 車を売ることに前向きになって貰える?

また、彼にTOEICの点数を聞いたところ、「今まで受けていない。もし、受ければ、600点ぐらいかも?」でした。

併せて、海外で仕事をしたいと聞いたところ、「出来れば行きたくない」でした。

結局A君に

「車を好きにったり、ロマンを感じる努力をするか?」

「自動車業界を選択することを止める」

かどうかと2社択一をしてもらった所、自動車メーカーを志望することを止めることに一旦決めました。