自己肯定感とは?

私自身、これまで沢山のコーチング研修を受けてきました。その中で、特に印象に残っているセッションとして、「自分の長所や、いい点を短い言葉で、3分間に出来るだけ多く書き出す」というものがありました。

例えば、「優しい。温かい。論理的。分析力がある。リーダーシップがある。几帳面。物事を深く考えられる。人をサポートできる。おしゃれ。体力がある。音楽が好き。等々」を思いつくままいくつでも挙げて下さいというものです。

所定の時間が経過すると、講師が会場にいる30人に尋ねます。

「はい。それでは、いくつ書けたか、数を数えて下さい」

そして、その上で、
「今度は、それではちょっと挙手して下さい」
「30以上書けた人?(2人の手が上る)
20以上書けた人?(5人の手が上る)
10以上書けた人?(15人の手が上る)
5以上書けた人?(6人の手が上る)
じゃあ、5未満の人?(2人が恥ずかしそうに手を上げる)」
とまぁ、このような感じで進みます。

その後、講師は続けます。
「私は実は、会場に入ってきて皆さんの顔を見ただけで、どなたが30以上書けるか、大体いつも分かります。また、失礼ながら、どなたがあまり書けないかも大概分かります」

このセッションの目的こそ、「自己肯定感」(自尊感情)の大切さを伝えることです。

自己肯定感とは、「自分を肯定し、大切に思える感情」です。「自信」にも近いのですが、優越感やプライドのように他者との比較で成り立つ感情とは違っています。

「自分は大切な存在である」「自分はかけがえのない存在である」という感情で、心理学用語の self-esteem(セルフエスティーム)を日本語に訳した言葉です。(対比語は、「自己否定感」です。)

この分野の研究では、アメリカの心理学者RosenBerg博士が有名です。博士の主導により、2008年にカナダ、フィンランド、台湾、日本を対象に、「自己肯定感」を持つ人の割合を調査したところ、カナダが一番高く、日本は最下位だったという報告がされています。

自己肯定感のある人、ない人

私自身、数多くの大学生とお会いしていますが、自己肯定感の高い人と低い人の違いは一目瞭然です。自己肯定感の高い人は、「自信」が体全体から溢れているようにみえる一方、自己肯定感の低い人からは「自信のなさ」が漂って来るような印象を受けます。

自信のある人は、普段の生活の中でも人に積極的にアプローチします。一方、自信のない人は籠りがちになります。また、自信のある人はのびのびとしているように見えますが、自信のない人は逆に委縮しているように見えるのです。

このように見かけからして違っているので、コーチングの講師でなくても、なんとなく、自信のある人かそうでない人かは、ある程度判別がついてしまいます。

新卒採用において、企業は「自己肯定感」がある人を採用したい

一般的に企業は「自信のある人」を採用したいと考え、「自信のない人」はそれだけで採用することに躊躇する傾向にあります。このように、自信の有り無しによって、同じような能力の人でも企業の評価が変わってしまうのです。そして、この自信の有無を決定しているのが「自己肯定感」です。

つまり「自己肯定感の高低」は採用に直結する「人間性」を測る非常に重要な要素だと言えるのです。

自己肯定感 診断ツール

下の図をご覧ください。これは先ほどご紹介したローゼンバーグ博士が開発した「自己肯定感」を測定する表です。一度自分の得点を算出してみて下さい。

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※合計の際には、

3. 敗北者だと思うことがよくある
5. 自分には、自慢できるところがあまりない
8. もっと自分自身を尊敬できるようになりたい
9. 自分はまったくダメな人間だと思うことがある
10. 何かにつけて、自分は役立たない人間だと思う

は配点を逆(5点から配点を引く)にして合計点を算出。
(例: 3.敗北者だと思うことがよくある → 「4.やや当てはまる」の場合は2点)

新卒採用基準・自己分析表

こちらの新卒採用基準・自己分析表をダウンロードすれば、スコアリングを簡単に行うことができます。

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